2020/08/31

Recommended Summer Book - 2020年度上半期おすすめ書籍

  今月は、週に1冊か2冊のペースで、2020年上半期に刊行された書籍の中から、ブログにておすすめの書籍をご紹介してきました。今回が、最後の一冊です。

海外刊行のアートブックは、完売後、すぐに再販されないものも少なくありません。
数年後にお問い合わせを頂きそうな本年刊行の書籍をご紹介しております。

《Recommended Summer Book #7: PALETTE シリーズ




























この書籍は、PALETTE mini 01 - Black & White、 PALETTE mini 02 - Multicolour 、PALETTE mini 03 - Gold & Silverの3巻からなるシリーズです。(続巻があるのかは、現在未定)

文庫本のようなサイズにこの厚みは、書籍デザインとしても目を引きました。全3巻を並べた際の見栄えもとても楽しいのです。それに加え、色と素材の無限の可能性を示唆する内容で、デザイナーやアーティストの創造力を刺激してくれる書籍です。

PALETTE mini 01 - Black & Whiteでは、白と黒のみを使用したデザインがご覧いただけます。グリッド、スペース、対比、素材など、モノクロでデザインを進める際に、シンプルだけどどうなるのかな?に答えてくれるプロジェクトがたくさん掲載されています。

PALETTE mini 02 - Multicolour では、多色が使用されたプロジェクトが掲載され、様々な配色の参考がご覧いただけます。日本にも独自の配色があるように、世界中で独自の配色文化があり、この組み合わせもありなのか!なんて驚くこともあります。新たな発見にワクワクするカラフルな内容です。

PALETTE mini 03 - Gold & Silverでは、豪華な金銀を使用したデザイン。金銀は、また一つ可能性を加えるような光沢という特質があります。光沢を効果的に利用することで、華やかさと威厳ある仕上がりになること、そして、凹凸を利用することで生まれる新たな視覚効果も期待できます。想像だけでは、少し難しいこの金銀を利用したプロジェクトが多数掲載され、その効果や可能性をご覧い頂けます。

サンプル辞典のようなこのシリーズには、各110点以上の参考例が掲載されているのです!





2020/08/28

Recommended Summer Book - 2020年度上半期おすすめ書籍

 今月は、週に1冊か2冊のペースで、2020年上半期に刊行された書籍の中から、

ブログにておすすめの書籍をご紹介していきます。

海外刊行のアートブックは、完売後、すぐに再販されないものも少なくありません。
数年後にお問い合わせを頂きそうな本年刊行の書籍をご紹介しております。

《Recommended Summer Book #6: Paul Klee - Life and Work》
オンラインストアへ→パウル・クレー























スイス・ベルン出身のパウル・クレーは、表現主義、キュビム、シュルレアリスムの影響を受けながら、独自のスタイルを完成させた20世紀を代表する芸術家であり理論家です。ワシリー・カンディスキーとは共に、「青騎士(ブラウエ・ライター)」やバウハウスで美術史に大きな影響を与えた活動を行いました。そんなクレーは、生涯の半分をスイス・ベルンで過ごし、現在同市には、パウル・クレー・センター(Zentrum Paul Klee)があります。この美術館は、2005年に開館し、クレーの残した全作品の約40%に当たる4000点以上を所有しており、世界一のコレクションを誇っています。(重要な作品の一部は、ベルン美術館にもあります)

世界的に知られ多くの人々に愛されるパウル・クレーの書籍は、たくさん刊行されていますが、1954年に刊行されたWill Grohmannの包括的なモノグラフ以降、クレーの全貌に関する書籍は刊行されていませんでした。そこで上記にあるパウル・クレー・センターは、この書籍を新たに刊行したのです。ドローイング、絵画、水彩画、彫刻、パペット、多くの記録文書と写真に加えて、クレーファミリーのアーカイブをはじめとする豊富な新しいリソースも加え編集されました。2000年前半に初版刊行後、絶版となっていたこの書籍が、2020年に再販されたことは、本当に重要な一冊であることを証明しています。
長年にわたる研究と労力の成果であるこの書籍は、クレーの素晴らしさを十分に伝えてくれます!











2020/08/20

Recommended Summer Book - 2020年度上半期おすすめ書籍

  今月は、週に1冊か2冊のペースで、2020年上半期に刊行された書籍の中から、

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海外刊行のアートブックは、完売後、すぐに再販されないものも少なくありません。
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《Recommended Summer Book #5: Stockholm Design Lab - 1998-2019》
オンラインストアへ→ストックホルム・デザイン・ラボ






































『シンプルで驚くべきアイデア』を推進力に、1998年にスウェーデン・ストックホルムに
設立されたストックホルムデザインラボ(SDL)。設立以来、スカンジナビア航空の総合デザインを始め、グラフィック、プロダクト、様々なデザイン要素を複合した新しいアウトプットとしてのモーショングラフィックなど様々なデザインワークを送り出してきました。

SDLは、デザイナー、ストラテジスト、アートディレクター、開発者、そしてサービスに携わる人々からなる学際的なチーム編成し、単なるグラフィックやパッケージのデザインにとどまらない、また、一過性のものに終わらない、ブランドとビジネスを変容させる総合的で持続的なアプローチを大きな特徴としています。

航空会社、美術館、アルコールメーカー、ファッションレーベル、スポーツブランド、自動車、ドラッグストア、ノーベル賞などなど、世界中のクライアントとのクリエイティブワークを手がけ、世界をリードする先進的なデザインラボとして非常に高い評価を得ています。

2020年、SDLの21年の活動をまとめた書籍が遂に刊行となりました。ブックデザインと編集ともにSDLが手掛け、厳選された紙と特色が効果的に使用されています。業界ごとに分類された数多くのプロジェクトが500ページのボリュームで、プロジェクトの詳細を伝えるモックアップや初めて公開される資料など900点以上の図版を収録。デザインの着想と過程や、舞台裏の逸話、ポートフォリオについての本書オリジナルの洞察を含む、特別なモノグラフとなっています。

卓越したデザインクリエイションの実践として、クリエイティブなデザイン活動を目指すデザイナーや学生にとって不可欠な、インスピレーションと知識を提供する一冊です。
















2020/08/18

Recommended Summer Book - 2020年度上半期おすすめ書籍

 今月は、週に1冊か2冊のペースで、2020年上半期に刊行された書籍の中から、

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《Recommended Summer Book #4: Adrian Ghenie - Paintings 2014 to 2019》
オンラインストアへ→エイドリアン・ガーニー
































ルーマニア出身のガーニーは、学校を卒業後、わずか十数年で国際的なキュレーターやオークションハウスに知られる画家となりました。2006年に現在は閉廊となったチューリッヒのHaunch of Venison Galleryのグループ展、2008年ベルギー・アントワープのTim Van Laere Gallery、2009年イギリス・ロンドンのHauch of Venison、そして世界的なオークションハウスクリスティーズで作品が発表されました。そして、2015年には第56回ヴェネチア・ビエンナーレのルーマニア館で大規模な展示を行い、さらに世界中で注目される現代画家となりました。


ガーニーの精力的な作品は、フランシス・ベーコンと比較されますが、本人は、ベーコンから直接的に刺激を得ているわけではなく、過去の多くの人々から得ていると言います。ある評論家は、ガーニーは、過去の出来事からの描写に長けており、何かの感覚を描き出すことに成功しているし、現時点でも常に進化している芸術家であると言いました。


Artbook Eurekaでは、過去に他に2冊の書籍を扱っていましたが、今年刊行された「Paintings 2014 to 2019」は、この若い芸術家が、ヴェネチア・ビエンナーレで大規模な展示前後の代表的作品から、移民のテーマやトランプ米大統領をモデルとした昨年の2019年までの作品を掲載しています。メディアとしての絵画の力能を見つめ、パレットナイフやステンシルなどのテクニックによって、複雑で多層的に絵画を構築するガーニーの魅惑的な絵画が、今までで一番多く掲載されている書籍です。









2020/08/12

Recommended Summer Book - 2020年度上半期おすすめ書籍

 今月は、週に1冊か2冊のペースで、2020年上半期に刊行された書籍の中から、

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《Recommended Summer Book #3: Marcel Duchamp - Boîte en Valise./Museum in a Box 》
オンラインストアへ→ マルセル・デュシャン






















第二次世界大戦へと向かう不安定な社会情勢の中、デュシャンは過去の作品の複製を、アルバムや本の形ではなく、綴じずにまとめて箱に収めるというアイデアに着手します。1930年代半ばからほぼ手作業で、6年近くの歳月をかけて進められ、1941年にマルセル・デュシャンまたはローズ・セラヴィの作品69点を収めた「Museum in a Box」の販売を開始しました。革製のトランクに木箱を仕込んだ豪華版が限定20部(+非売品4部)、その後長期間にわたって、革製トランク抜きの箱300部あまりが作られたのです。

マルセル・デュシャンは、現代美術に計り知れない影響を与えましたが、バリエーション作品を作ることを嫌ったことから、その作品数は多くはありません。ボックスに納められたこれら69点の作品は、どれもがデュシャンの思索の成果であり、芸術的探求の重要な一側面が表現されています。

そしてそして、木製の箱で作られたオリジナル版を、紙と一部プラスチックによって緻密に再現した「Marcel Duchamp/Museum in a Box」の待望のセカンド・エディションが、今年出版されました。
箱を開け、手の込んだ仕切り板を開くと、デュシャンが全精力を注ぎ込んだ未完の大作(通称)大ガラスを中心に、レディメイド、絵画作品などが所狭しと収納された、究極のブックオブジェクトとなっています。本棚にこの書籍がある方は、間違いなく現代美術が大好きなお一人でしょう。初版完売後には、多くのお問い合わせを頂いた本書。ぜひ、この機会をお見逃しなく!








2020/08/06

Recommended Summer Book - 2020年度上半期おすすめ書籍

今月は、週に1冊か2冊のペースで、2020年上半期に刊行された書籍の中から、
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《Recommended Summer Book #2: Francis Bacon - Bacon and the Mind、 Painting Philosophy, Psychoanalysis、Inside Francis Bacon》
オンラインストアへ→  「Bacon and the Mind」「 Painting Philosophy, Psychoanalysis」「Inside Francis Bacon

衝撃的なイメージと、それとは裏腹なシステマティックな制作過程。抽象表現がアート界を席巻していた中でも、具象性に留まり続けた彼独自の美学。ベーコンの絵画を前にした時、相対的な日常の価値観を置き去りにし、存在の本質的な問いへ誘うような引力を感じます。

様々な謎に満ちながら、今なお人々を魅了し続けるベーコンの芸術に、新しい視点をもたらす最新の研究書が到着しました!全3巻のシリーズで、様々な視点からのベーコンへのアプローチを、多くの作品資料と共に読み進める内容となっています。


第1巻【Bacon and the Mind - Art, Neuroscience and Psychology】

ベーコンの記憶、身体性、本能と経験について、神経系や、脳と美の関係を研究する新しい分野である神経美学など、脳科学の視点からその内面性へ迫ります。


第2巻【Painting, Philosophy, Psychoanalysis】

画面につけられたスクラッチ、度々登場する鏡、変形、自画像などに着目し、アリストテレスからラカン派まで、これまでに無い心理学的側面からの分析がまとめられています。


第3巻【Inside Francis Bacon】

ベーコンのパトロン達の日記、ベーコンとボナールの両者に共通する視点、ベーコンが制作に用いたメタファーシステム、素材と制作過程についての調査など、最新の研究成果をまとめ、新しいベーコン像を描き出します。







2020/08/03

Recommended Summer Book - 2020年度上半期おすすめ書籍


今月は、週に1冊か2冊のペースで、2020年上半期に刊行された書籍の中から、
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海外刊行のアートブックは、完売後、すぐに再販されないものも少なくありません。
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《Recommended Summer Book #1:Wolfgang Tillmans - Today is The First Day》
オンラインストアへ→ヴォルフガング・ティルマンス




ヴォルフガング・ティルマンスは、90年代初頭から友人らを撮影した写真を雑誌で発表するなど徐々に注目を浴びていきました。写真作品を額装せずにピンやテープで止め、空間全体を使用した新しい写真の展示方法や抽象絵画のような抽象的な写真など、2000年代には、ここ日本でも多くの写真集が並びました。そして、現在も進化し続け、近年では、ビデオ作品やサウンド作品、パフォーマンスなどの舞台作品も手がけています。現代社会の変容、技術の進化をも感じる作品。ティルマンスは、重要な現代写真家であり現代芸術家です。


この書籍は、2020年今年、ヨーロッパ2箇所で開催された大規模な個展の際に刊行されました。過去30年間の活動を紹介した展覧会というのも魅力的ですが、本書のコンセプトやデザインには、ティルマンス自身が関わっているのです。

以前、ドイツの出版社Hatje Cantzより刊行された”Abstract Pictures”も約300ページに大きな図版でしたが、今回のこの書籍も、500ページ以上の大きな図版で見応えがあります。それに加えて程よいサイズ感と紙質で、軽快に楽しめる一冊です。もちろん、ティルマンスの特徴的な展示がわかる展示風景写真も。