クリスチャン・ボルタンスキー:Christian Boltanski(1944年生まれ)
パリに生まれます。美術学校には通わずに絵画の制作を始めます。1960年代になると、絵画をやめビデオ・アートやインスタレーションの制作に移行していきます。
彼の作品について尋ねられたときいつもよぎってしまう「ホロコースト」。
この「ホロコースト」については強烈な印象がついてしまいがちです。
ホロコーストについて、彼は日本のインタヴューにて個人的に非常に重要だったこと、
また考えられないほど多数の死者を出したという点で重要であると話しています。
1000人に死は想像できますが、600万人の死は想像できません。
(現在犠牲者は、900万人から1100万人と言われています)
しかし、じっくり見ていくと、誰もが持つ子供の頃の純粋なものの見方、
記憶・思い出のシーンや行動を感じてきました。
それは、初期に彼自身が幼少期を思い出し制作した作品に全てが集約され、
そこを出発点として現在も作品が展開され生み出されているからかもしれません。
人間の「生」と「死」それは、いつの、どんな事件の、どのような時のという
限られた場面におけるのもではなく、それ自体。
そして、「記憶」と「忘却」。
それは、誰もが持つ共通の話題。
彼の作品を目の前にした時、人は、忘却の彼方に自身の持つ記憶を探します。
そして、自身の出会った生と死を見ることになるのでしょう。
幼いパーツやメモリアルなものそれらを前にして、記憶を持つ人は、
何かを感じないことはないのでしょう。
もう一つ、大切なこと。
ホロコーストから、ヒトが名前を奪われ番号で呼ばれ、人数で数えられず重さ
で数えられたという事実があり、ヒトが個々の人であることを強く意識して
いるべきだと言っているように思います。
以下当店取扱の書籍
【6 Septembers】、【Archives】